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「ユニフォームらしく」見えない、
あなたらしく着られるRASHIKI
藤内 裕司 様(Tohnai Design Office)
RASHIKIの全面的なデザインをご担当いただいた藤内デザイナーに、RASHIKIの製品に込めた思いを伺いました。
藤内デザイナーと弊社は約10年前からご縁があり、当時携わられていたMHLの企画をユニフォームメーカーとしてお手伝いさせていただく機会などもありましたが、商品開発は今回が初めて。
ユニフォームとして、美しいデザインと機能性の両立が求められたRASHIKIの開発。
素材からこだわって作られたRASHIKIの魅力を語っていただきました。
リアルな生活に取り込める「個人向けユニフォーム」とは
今は働き方が多様化して、個人個人で生活や仕事の環境を選べる時代になってきていますよね。定年まで会社に所属する仕事ではない職種を選ぶ人も増えています。
特に女性は、出産や子育てをしながら働くことが増えていくと思います。
その生活の中で便利に着られる仕事服——汎用性があって、そのまま外にも出かけられる、そんな服が求められていくと感じます。それが今回の「個人向けユニフォーム」だと思っています。
「ユニフォームらしく」見えないユニフォーム
とにかく、すっきり見せるように心掛けました。ユニフォームは機能性を高める際、デザインで分かりやすくすることがあります。マチ(厚み)を足したり、ポケットを大きめにしたり。結果、良くも悪くも「ユニフォームらしく」なっていきます。
今回は機能性をデザインで表現することを避け、極力目立たないように作りました。しかし、必要な機能性は取り入れています。シャツは腕を上げやすいようにし、パンツはすっきり見せつつ腰周りのゆとりは十分に入れるなどしています。
また、細かなところですが、縫い目を押さえるステッチも同様で強度を高めつつも全体のバランスの中で見せるところと隠すところを決めて作りました。これはすべてのアイテム共通の縫製ルールとしました。
このあたりの全体のバランスやゆとりは実際に何度も着用し、様々な動作でチェックして作成しました。
着用する人の定番ユニフォームになるために
着心地が良いものを作りたかったので、天然素材を基本としました。一方で、どのように強度や耐久性を持たせられるかが課題でした。
通常、ファッション性を重視した場合、細番手の繊細な糸を選ぶことが多いのですが、機能性を考えた場合は適しません。今回の企画では耐久性も重視しているので、ソロテックス®(帝人フロンティア)という強度と弾力性のある機能繊維も選びました。
お客様が製品を洗濯した後で縮んでしまわないよう、綿素材をある程度事前に縮ませておくためです。素材も、洗濯を繰り返しても風合いが損なわれず、がさつきが少ないスーピマコットン(繊維の長い綿糸)などの糸質の良い綿を選んでいます。
RASHIKIはユニフォームというカテゴリ。基本的に毎日着ていただきたいと思いますので、風合いや肌触りには配慮しています。
ユニフォームで重要なのはリピート性、つまり同じものを繰り返し作り続けられることなんです。アパレルのシーズン企画とは違い、再現性は必須だったので、その時にしかできない手法は避け、最後まで試行錯誤を繰り返しました。
特に色に関しては、再現性と色の安定性を求めていくと、最適な方法が色によって違うんです。結果、同じアイテムでも色によって染め方を変えることになりました。
日本製だからできる丁寧な仕事を感じてほしい
今回、製品洗いや製品染めの加工を施したり、色ごとに染め方を変えたり、色ごとに型紙のサイズを変えたり、細かな部分にもこだわって作成しました。このようなきめ細かい対応は日本製ならではだと思っています。
その丁寧な仕事をお客様にも感じていただき、愛着のある一着にしていただけると嬉しいですね。
HIROSHI TOHNAI 藤内 裕司 / Tohnai Design Office
文化服装学院ファッション工科専攻科を卒業後、 Y’s for living にてキャリアをスタート。 以後、 MARGARET HOWELL , MHL. の企画・デザイン・素材開発など、同ブランドの舵取りを 7年に渡って務める。独立後 WISLOM のディレクターを経て、㈱Tohnai Design Officeを設立。 数々のブランドを手掛け、2022年より自らの名前を冠した TOHNAI をスタート。